すいしょう-うらない【水晶占い】
占い師と聞くと、目の前に大きな水晶球を置き、それに手を翳している姿を思い浮かべる人も多いと聞きます。さてこの水晶占い、実際のところどんな歴史を持ち、どのような占いなのでしょうか。
水晶占いとは
水晶占いは「クリスタルゲージング」や「クリスタルロマンシー」とも呼ばれ、その手法を「スクライング」と言います。文字通り水晶球を使って行われる占いで、過去には魔術的な儀式に使われることもありました。
水晶占いには二通りのやり方があり、その一つが「スクライング」です。こちらは水晶を使って行われる透視に近いものがあり、占い師が見つめる水晶に本来なら浮かび上がるはずのない遠距離の風景や隠された場所、過去や未来の映像などが、鮮明か断片的かの見え方の違いはあるにせよ具体的に浮かび上がり、それを元に占いを行います。もう一つのやり方は特に名前が付けられていませんが、映像や画像ではなく不完全な絵や記号などの暗示的なイメージを水晶に映し、それをヒントに人の運勢や運命を推測すると言ったもので、実際にはこちらの占い方の方が主流となっています。
占い自体を体系的なものや理論的なものを頼りに行うのではなく、直感を頼りに行われる水晶占いは、占い師に相応の才能や鍛錬が求められるものとなります。特に「スクライング」の方は透視能力のような特殊な力が必要となるので、行える人の数はそう多くはありません。また、もう一方の暗示を読み解くやり方に関しても、その読み解く力や経験、多大なる直感力が必要となってきます。
起源や発祥
水晶占いがどのようにして発祥したのか、詳しいことは残念ながらわかっていません。似たような占いとしては、ペルシアで泉の中に沈めた鏡に映った情景から人の病気の回復具合を読んだ、鏡占いと水晶(水)占いの両方の性質を持った占いが先に発生したようです。その後12世紀のヨーロッパでは、観察者と呼ばれる人達が鏡を月にかざし、映った月の姿から未来を占う手法が行われ、同時期に司祭などの位の高い者が身につけている宝石(装飾品)から未来を読むという占いが発生しました。
実際に水晶が使われ始めたのは、16世紀からになるとされています。1530年、ニュルンベルグ(ドイツ)の僧侶が「水晶の中に財宝とその隠し場所を見た」という記録がピエール・ド・ランクルの著書に残っており、財宝探し自体は発掘中の事故で僧侶が亡くなったために中断されていますが、これが水晶占いの行われた記録であることには間違いありません。そしてこの水晶占いはジプシーたちの手によって運ばれ、17世紀頃のイギリスで盛んに行われるようになりました。当時は今のような美しい球体の水晶が使われていたわけではなく、卵型の水晶がよく使われたようで、高価な水晶が手に入らないような庶民の間では、水晶の代わりに水の入ったコップに6ペンス銀貨を入れて未来を占ったとされています。
日本における水晶占いの歴史
日本での水晶占いの発祥や歴史も、はっきりとはしていません。最古の記録として残っているのは、奈良時代に作られた「日本書紀」の中で神功(じんぐう)皇后(170年~269年)が現在の山口県である長門の豊浦の津で水晶占いをしていたと解釈できる一文が記されており、この記述が水晶占いを指すのであれば、随分と昔から行われていたことになります。また、同種の占いで水面を見て占う水占(みなうら)ではないかとされるものが、同じ奈良時代に作られた「万葉集」の中の歌に登場しています。
水晶占いのやり方
占いを始める前に、まず水晶球の準備をします。小さいものではその中に映し出されたものが見にくいので、最低でも直径10cm以上のものが望ましいです。形は完全な球体か、もしくは楕円形。完全に透明なもので、できれば天然石で作られたものが良いでしょう。もし水晶球を手に入れることが難しい場合は、水を満たしたグラスやボウルなどの、ガラス食器で代用しても構いません。
水晶の準備ができたら、次の手順に沿って占いを始めます。
- 目を閉じ、5分間水晶球を手に持ちながら暖めます。
- ゆっくりと深い呼吸を繰り返しながら、呼吸のリズムに集中し雑念を捨てます。
- 心が澄んだ状態で目を開け、水晶球を台座、もしくはテーブルの上に置きます。
- 置いた水晶球の上を右手で直接触れないように覆い、次に左手で水晶球を覆うということを、2、3分の間繰り返します。
- 水晶球の方へと視線を向け、しっかり固定します。数分以上、ある程度の時間見続けましょう。
水晶占いは万人にできるものではなく、個人の資質が重要になるものだとされています。第六感の強い人や、霊感の強い人などはあまり努力をせずに水晶の中にイメージを捉えることができます。そのような資質がないからと諦めるのは簡単ですが、そういった力は目覚めさせることもできるので、根気強く練習を続けてみましょう。最初は10分から水晶球を見つめ始め、次第に長く。1時間くらい見つめ続けることが求められます。